フェリカの登場で一気に普及

フェリカの登場で一気に普及

過去に電子マネーの実験は何度も行われた。90年代には英国のスウインドン市でモンデックスという電子マネーの実験があった。98〜99年には東京・渋谷でのVISAキャッシュ、新宿のスマートカードの実験などが相次ぎ、少額決済分野を対象に展開された。しかし、どこの実験もうまくいかなかった。その理由はほとんどがカードを端末機に差し込んで情報を読み書きする接触型ICカードを使っていたため、処理に時間がかかりすぎたからだ。

 

しかし、SuicaやEdyに採用されて、今ブームになっているのは、それとは違うタイプのICカードで、非接触IC技術「フェリカ」を使っている。ETCカードなどのにもこの技術が利用されているが、この技術はソニーが開発したもので、香港の地下鉄の乗車券用に作られたオクトパスカードがもとになっている。ラッシュアワーの改札で通勤客をいかに迅速に正確に処理できるかを目的に作られたのだ。

 

フェリカは、ICが端末機に接触しなくても情報の読み書きをすることができ、カードを財布やパスケースから出さずにかざすだけで決済できる。端末機に10mほど近づけるとカードが電磁波を感知して電流が流れ、端末機との間で情報をやり取りし買い物ができるという仕組みだ。また、かぎして、決済処理が終了するまでわずか0.1秒しかかからないから便利だ。

 

現在、わが国で普及している主要な電子マネーはすべてフェリカを採用している。フェリカー色の状況といってよい。それはフェリカが応答速度に優れており、利便性に優れているからであるが、他にもいくっか理由がある。フェリカ普及を進めるフェリカネットワークのPRがうまかったことや、日本最大の交通事業者であるJR東日本がSuicaでフェリカ規格を採用したために、JRに合わせようという意識が強く働いたからである。

 

ところで、非接触型ICカードには、他にもタイプA、タイプBという規格がある。それらは欧米で採用されている。どちらもISOを取得しており、デファクトスタンダードで世界中どこでも使える。一方のフェリカはタイプCとも呼ばれるが、決済に関するISOがとれていないため、世界中で使えるとはいえない。また、カード本体と読取機の価格が高いのが弱みとなっている。汎用性のなさと価格の高さが今後の問題点になると思われる。

 

しかし、束アジアでは、フェリカ規格が普及している。交通機関から出発した規格だけあって、とにかく処理速度が早いのが特色で、今では金融面でも幅広く使われるようになった。せっかちな東アジアの人たちには案外向いているのかもしれない。

 

将来的には円貨だけではなく、米ドル、ユーロなどのマルチカレンシー口座機能も搭載されることであろう。手数料が安いFXなどと提携する可能性もあるのではないか。

携帯電話との組み合わせ

さらにこのフェリカの技術を携帯電話に搭載しようと誕生したのが「おサイフケータイ」だ。その携帯電話を読取機にかざすだけで、データの読み書きができる。用途としては電子マネーやクレジットカードの決済、ポイントカードや会員証をはじめ、交通機関や映画のチケット、マンションの鍵などだ。カード型と比較すると、画面で残高や利用履歴を確認できるのが優れている点だ。

 

この「おサイフケータイ」にはプリペイド型のEdy、Suica、nanacoを載せることができるが、それ以外にID、QUICPay、SmartPlusもダウンロードして載せることができる。そのためクレジットカード各社は「おサイフケータイ」を少額決済市場攻略の切り札として積極的に展開しようとしている。また、NTTドコモはIDブランドを立ち上げてDCMXというケータイクレジット事業を始めた。このNTTドコモの参入がクレジットカード業界に大きな影響を与えている。